東京・新宿・渋谷などJR東日本6駅の構内データ公開 ターミナル駅での移動を支えるアプリ開発へ

公共交通オープンデータ協議会(会長:坂村 健 東京大学名誉教授)は、JR東日本の6駅の駅構内データを、アプリケーションコンテスト「公共交通オープンデータチャレンジ2026」で2026年10月26日から公開しました。対象は東京駅、新宿駅、池袋駅、渋谷駅、品川駅、高輪ゲートウェイ駅です。今回の公開は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)とJR東日本コンサルタンツ株式会社の協力を得て行われています。
構造が複雑なターミナル駅の構内を、データで表す
大規模なターミナル駅の構内は、通路が複数の階層にまたがり、改札や出入口も数多くあるため、構造が複雑です。とくに高齢者や、車椅子・ベビーカーを利用する人にとっては、階段や段差を避けてエレベーターなどを使い、目的のホームや出口までたどり着ける経路を前もって把握しておくことが、安心して移動するための重要な手がかりになります。
今回のデータには、駅構内の通路・階段・エスカレーター・エレベーター・改札などのつながりと、それぞれのバリアフリー属性情報が記述されています。駅構内を含めた経路案内やバリアフリーマップなど、さまざまなアプリケーションの開発に活用できる内容です。
国際標準「GTFS Pathways」形式でも提供
データは、国土交通省の仕様に基づく歩行空間ネットワークデータに加えて、公共交通データの国際標準であるGTFSの駅構内表現「GTFS Pathways」形式でも提供されます。協議会によると、日本国内でGTFS Pathwaysデータが広く整備・公開されるのは、このチャレンジが初めての事例です。
GTFS(General Transit Feed Specification)は、鉄道・バス・フェリーなどの時刻表や駅・バス停の位置情報、運賃情報などを表現する国際的なオープンフォーマットで、国内外のさまざまな乗換案内サービスで採用されています。その公式仕様の一部であるGTFS Pathwaysは、出入口・改札・ホームなどの地点と、それらを結ぶ通路・階段・エスカレーター・エレベーターなどの経路、その距離などを、フロアの情報とあわせて記述できる形式です。たとえば東京駅や新宿駅でJRの路線同士を乗り換える場合に、乗換先のホームまでに通る階段・エスカレーター・エレベーターや通路を、ひとつながりの経路として表せます。駅構内での乗換や出口までの経路案内、バリアフリー経路の探索などへの活用が期待されています。
今回公開されたデータの概要
- 対象駅:東京駅、新宿駅、池袋駅、渋谷駅、品川駅、高輪ゲートウェイ駅(JR東日本6駅)
- 対象範囲:JR東日本の駅構内
- 公開データ:歩行空間ネットワークデータ(歩行空間ネットワークデータ整備仕様(2024年7月)に準拠)、構内地図データ(階層別屋内地理空間情報データ仕様書(国土地理院: 2019年3月)に準拠)、GTFS Pathways形式データ
- 公開開始日:2026年10月26日(月)
- 公開範囲:公共交通オープンデータチャレンジ2026の参加者限定
- 協力:東日本旅客鉄道株式会社、JR東日本コンサルタンツ株式会社
大江戸線12駅とあわせ、計18駅のデータが利用可能に
このチャレンジでの駅構内データの公開は、昨年度の都営地下鉄大江戸線に続くものです。昨年度は東京都交通局の協力により、同線12駅の駅構内の歩行空間ネットワークデータと構内地図データが公開されました。今年度も同じ12駅のデータが2026年9月17日に先行して公開されており、今年度からはGTFS Pathways形式のデータも加わっています。対象は新宿駅、新宿西口駅、大門駅、赤羽橋駅、青山一丁目駅、国立競技場駅、都庁前駅、麻布十番駅、東新宿駅、六本木駅、上野御徒町駅、代々木駅で、今回のJR東日本6駅とあわせて計18駅の駅構内データが、チャレンジで利用できるようになりました。
昨年度の「公共交通オープンデータチャレンジ2025」では、歩行空間ネットワークデータを使った作品が受賞しています。優秀賞の「Waaalk – 歩いて、乗って、冒険へ。」は、公共交通の時刻表データと歩行空間ネットワークデータを組み合わせ、行きは徒歩・帰りはバスといった散策ルートを自動生成する作品です。特別賞の「EkiLink」は、駅構内の空間・設備・経路を3Dで可視化し、バリアフリー経路も再現しました。協議会は、駅構内を含む歩行空間データと公共交通データを組み合わせた活用の可能性が示されたとしており、今回のデータ公開を通じて、誰もが安心して移動できる環境の実現につながる作品が数多く応募されることを期待しています。
「公共交通オープンデータチャレンジ2026」は、公共交通オープンデータ協議会と国土交通省が共同で開催する、賞金総額最大300万円のアプリケーションコンテストです。開催期間は2026年7月1日(水)から2027年3月12日(金)まで、応募期間は2026年10月1日(木)から2027年1月11日(月・祝)までです。2026年10月現在、27社局の鉄道事業者、110社局の路線バス事業者、352組織のコミュニティバス、18自治体(5事業者)のデマンド交通、33組織のフェリー事業者、4社の航空・空港関係事業者、2社のシェアサイクル事業者がデータ提供に協力しています。主催の公共交通オープンデータ協議会は、公共交通事業者やICT事業者など172団体(2026年10月26日現在)で構成される産官学連携の協議会で、2019年5月からさまざまな交通機関のデータをワンストップで提供する「公共交通オープンデータセンター」を運用しています。










